この日本語教室の小径では、対話に啓かれることについて、考え続けています。

きょうは「基礎的な学習者」が対話に啓かれるために必要なことについて整理してみます。

教室が「対話」の場となるには、まず、教室にいる他者への誠実な関心、他者へのリスペクト(敬意)が育っていなければなりません。

他者をリスペクトして、他者の意見を聴く、そして、他者がしてくれた表現行為に対して、自分も表現行為を返していく、これこそが「対話」です。

学習者を社会的行為者ととらえるというCEFRの理念にたてば、「基礎的な学習者」も「自律した学習者」も「熟達した学習者」も、社会的行為者であり、社会的存在であることを表現しているということになります。

『自分を言葉にしていく』。他者にあったとき、他者をレスペクトしていることを伝えるには、自分から自分を啓いていくことが、どうしても、必要になります。

2022年7月生に、わたくしは週1回、『対話』の授業を担当しています。このクラスにはウズベキスタン4名、モンゴル1名、中国17名の多文化の学習者がいます。多文化の学習者に対して、学習者を社会的行為者ととらえ、自分を他者に啓く活動に取り組んでいます。方法は、テーマについて、まず私が、自分を啓く作文(400字程度)を書き、対話的行為として伝えます。そのあと、彼・彼女たちは、自己内対話を行い、自律学習で自分を表現する作文を書きます。わたくしはその内容と対話し、わかりやすい日本語に変えて彼・彼女たちに返し、4-5人のグループでそれぞれの情報を伝え合います。そして、最後にグループの代表者が、その情報を全体に伝え、聴いている学生たちは、その情報をクラスの仲間の情報をまとめる用紙に書きとっていきます。本当に楽しい行為であることが伝わってきます。この方法で、クラスは学び合う協働体に育ってきました。

第47回の日本語教室の小径は、このプロセスを4回行ってきた報告です。第1回は「自己紹介」、第2回は「私の一日」、第3回は「私の趣味」、第4回は「私のふるさと」。

この3か月を通して、3つの対話の基本姿勢が育まれてきたと思います。1つは、「自己を開示する姿勢」、2つは、「他者の発言に全身を傾けて聴く姿勢」、そして、第3は「他者をリスペクトする姿勢」です。

クリックしてyou tubeで、彼・彼女たちの学びの様子をご覧ください。

https://youtu.be/PA1Zww6hGMs 

わたしの故郷「対話的発表」