今年も和洋女子大学日本語教員養成課程の東京富士語学院での教壇実習の時期がやっていきました。1年目に日本語教師の基本姿勢である「多文化共生の姿勢」「対話の姿勢」を育み、また人とつながるための「寛容性」「協働性」「自律性」を身に付けるためのアクティブ・ラーニングをやってきました。

今年の教壇実習生は23名です。人数が多いため、上級のコースでteam teachingで行います。2年目の4月から次のように準備を重ねてきました

💛指導の流れ

1.教壇実習を行うクラスの見学実習(90分)と対話実習(90分)を行う。

2.CLIL(内容言語統合型学習)による教壇実習とは何か。その意義と目標。90分をどのように組み立てるか。

3.23名を4グループに分ける。教壇実習(月曜日・火曜日・水曜日・木曜日)が可能な曜日を各自が選んで、調整。月曜日グループ6名、火曜日グループ6名、水曜日グループ6名、木曜日グループ5名となった。

4.グループで話し合いcontent(内容)を考え、90分の授業の教案と役割分担を考える。

5.模擬授業(90分)を行う。

6.授業が対話的になるように改善点を指導する。

7.教案を推敲し、第2回模擬授業(90分)を行う。

8.直前に変更点のみ模擬授業を行う(20分)

💛内容

各グループが選んだcontent(内容)は

月曜日グループ:小中高の行事

火曜日グループ:オノマトペ

水曜日グループ:百人一首

木曜日グループ:民謡

でした。

💛見学実習・教壇実習の感想

実習生たちは、それぞれに貴重な経験をしたことが、振り返りのレポート、そして振り返りの対話的発表から伝わってきました。振り返りのレポート(2000字)では

1.準備段階で気を付けたこと

2.見学実習で気が付いたこと

3.教壇・対話実習の実践と反省

4.多文化共生に向けての今後の目標

を書きました。

ある学生のレポートの一部を引用します。

1.準備段階で気をつけたこと

『まずは、対話的な授業にするよう、クイズを入れたり、写真を見せて問いかけたりするよう心掛けました。また、対話的な授業にするには、自然体で話すことも大切だと学んだので、模擬授業の際、いつも通りの自分で話せるように練習しました』

2.見学実習で気がついたこと

『私が思っている以上に、倉八先生は大きな声でゆっくり話していることに気づきました。留学生の皆さんも聞き取りやすそうにしていて、私も倉八先生のように話したいと思いました。生徒が間違えた言葉を、正しい日本語に即座に直し、言葉で説明しても伝わりづらい単語は、図を書いてわかりやすく説明しているところが印象的でした。他人が教えないと、自分が間違えて話していることを自覚しづらいと思うので、とても大切なことだと感じました。また、周りの生徒も知らなかった単語を学べるので良いなと思いました。

疑問に思ったことをすぐに質問し、メモを取りながら話をよく聞いていた留学生の姿は、日本の学校であまり見ないので、とても新鮮でした。そして、クラスのみんなが本当に仲良く、仲間同士で高め合える関係性なのだろうなと感じました。日本語を学ぶうえでとても良い環境だと思うので、そういった雰囲気を作ることのできた倉八先生や生徒の皆さんは率直にすごいなと思いました』

3.教壇・対話実習の実践と反省

『教壇実習が始まる前まで、私たちの授業に興味を持ってもらえるか不安でした。ですが、顔を上げて話を聞いてくれたり、作った資料に目を通してくれたり、クイズにも積極的に参加してくれたりと、興味を持って聞いてくれたことがとても嬉しかったです。自分が問いかけをしなくても、留学生が育った国にあった行事など日本とは違った文化をたくさん教えてくれたので、自然と話も盛り上がり、とても授業がやりやすかったです。けれでも、私が実際にやった教壇実習は、思うようにできなかった部分か多く、反省点がたくさんありました』(反省点は3点に分けて、きちんと振り返られていました)

4.多文化共生に向けての今後の目標

『今回の教壇実習と対話実習を通して、対話することの大切さを強く感じました。人は誰でも、実際に話してみないと、偏見でその人を決めつけてしまうと思います。ですが、対話をすることでその人の人間性がわかり、その人に対する考え方が変わると考えます。私も東京富士語学院の留学生たちと最初に会った時は、少し怖くて近寄りがたいイメージがありましたが、今はその印象が大きく変わり、優しくて、心の温かい人たちだと気づくことができました。多文化共生に向けて、他文化の知識を身につけるとともに、自分とは違った文化を持つ人々とたくさん交流し、それぞれの文化の良さを知っていきたいです』

💛実習生のみなさんへのメッセージ

この教壇実習・対話実習のためのplan-do-seeをとおして、本当に成熟しました。多文化共生のための知識を身につけ、多文化共生を体現してほしいというのが、私のこころからのねがいです。がんばれ!!! 若者たち🌹

百人一首導入

百人一首の実施

民謡ソーラン節導入

ソーラン節実施

民謡グループ対話実習

民謡グループ対話実習2