🌹2021年度―2022年度の日本語教員養成課程の受講生は23名でした。このうち、22名が2年間の養成課程をやり通して「日本語教師」の資格を得て、修了していきます。この2年間の間に10以上のレポートを書き、5以上のプレゼンテーションを経験し、対話実習・教壇実習を体験して変容していきました。その成長の姿は、2年間の時間を共にした私に、多くの喜びを与えてくれました。みなさんの素敵なことばを紹介できたたらいいのですが、ここでは7人のことばを引き、彼女たちが綴ったことばをわたしもこころに刻み、彼女たちの成長への感謝にします。みなさんとの2年間の時間楽しかったですね。本当にありがとうございました!これからも『学び』続けていきましょう!🌹

 

💛Y.U.

「私はこの2年間で、日本語教師としてだけではなく『人として』大きく変容したと感じます。まず、私だけに限らずこの日本語教員養成課程を取った仲間の皆さんも同じだと思いますが『対話的姿勢』が身に付きました。『対話的姿勢』が身に付くことで、人間関係がすごく上手くいくようになり、大学生活で人間関係に悩まされたことはありませんでした。また、友人や知人から相談される機会が増え、私自身も困った時に人に頼りやすくなりました。私が日本語教員養成課程で身に付けたもう一つの能力は『考える力』です。日本と世界の関係性や日本人と外国ルーツの人々との関係性は確立されたものではなく、また明確な正解があるものでもないと思います。そのような中で、2年間ずっと留学生とのかかわり方を探究してきました。考え続けることをやめず、世界中にある貧困や差別など様々な問題や課題に向き合う能力が養えたと感じています。また、教育実習を通して考えたことを実践する機会があったことは本当に恵まれていたと思います。座学だけではどうしても机上の空論になりがちですが、実習も経験することで実践的な学びが得られました。2年間、あたたかい授業をありがとうございました!すごく居心地がよかったです!」

💛R.T.

「二年間の日本語教員養成課程をやり通して、一点目、『対話』という言葉を知り、経験し、自分のなかの意識に取り込むことができたという変容がありました。一年目はZOOMでの授業で、不慣れな面や緊張からそれらを克服することにやや時間はかかりましたが、相手の顔・表情を見て、話を傾聴し、自己紹介やおすすめの本などを紹介することは、相手を知り自分を開示し対話につながるのだと実感できました。この授業で感じたことは日々の生活のコミュニケーションにも活用できています。

二点目、積極性に変容がありました。以前からいろいろなことに挑戦したい気持ちで取り組んでいましたが、さらに、知ろう・挑戦しよう、そして経験しようと実際に多くの行動にうつすことができるようになりました。二年間授業を一度も休まず、東京富士語学院へ実習に行ける機会があるとすべて参加することができました。日本語教員に関する資料を読んだりセミナーに参加したりもしました。もとより、倉八順子先生の魅力的な授業のおかげで、興味関心を強くもち活動に取り組めたと言えます。

これからも対話の姿勢をもち、さらには語学力をもちあわせ、自分に自信をもって国や言葉の壁を超えて人と向き合えるように計画を立て勉強していきたいと考えています。私にとって、大学生活のなかで最も大きな学びを得た授業となりました。この二年間のご指導に感謝いたします」

💛M.S.

2年間やってきて多くのことが変容しました。性格も発言の内容もレポートの書き方も大きく、2年生の頃の自分とは比べられないくらいに変容しました。

ですが、一番変容したのは考え方です。以前の自分も外国の人が好きではありましたが、その時は曖昧な理由で日本語教師に対しても何も考えていませんでした。また、私は日本には人種差別はないと調べもせずにずっと思っていました。ですがそうではありませんでした。無意識な思い込みでした。全然私には知識がないと感じたのと同時に、無意識な思い込みの怖さを知りました。

2年間を通して日本語教師という仕事のすばらしさや多文化共生の難しさを学びました。多文化共生についてみんなと先生と考えてきて、考えることが習慣になりました。以前より新聞やニュースを見る機会が増え、今日本や世界では何が起こっているのかが気になるようになりました。駅に外国の方がいると話しかけてみようかななどと思うようになりました。私にできることを模索していきたいです。また、日本語教師の授業では、毎回、新しいことが知れました。勉強といえば勉強ですが、何か生きていくために大切な何かをたくさん学べたと思います。これからも先生やみんなに教えてもらったことを大切にしながら、日々私にできることを考えていきたいです。

💛Y.S.

「2年間の養成課程を通じて、対話すること、自己開示すること、行動することに対しての『恐れ』が、ほとんどなくなりました。これは私にとって大きな変容と成長であり、先生とクラス全員が作り出したあたたかさによる、一人ひとりに開かれた授業が展開されていたからだと考えます。また、2年次、この養成課程の受講前は、具体的な授業方法を学んでいくものだと想像していましたが、良い意味で想像を裏切られました。自分たちで考え、実践する。本書120ページでも出て来ましたが、授業・対話実習・教育実習が「Plan-Do-Seeの実践」であり、一人の学生として、一人の日本人として、一人の人として、そして一人の多文化共生人としての『土台』をハートで学ぶ2年間でした。大学の授業で、唯一、純粋に『面白いなあ』と感じられたものでした。この好奇心を行動にうつす勇気を身に付けることができたことも、大きな変容の一つです。

教師というものは、知識を伝えることが全てではないと考えるようになりました。以前は、どれだけわかりやすい知識を教えるかということにフォーカスしてしまいがちでした。しかし、1から10まで教えることが正しいとは限らず、考えさせる隙をいかに与えられるかどうか、学習者が知識を身につけたいと思える好奇心のツボをプッシュすることがポイントだと感じています」

💛M.Y.

「2年間の養成課程を賭して変容したことは3つあります。1つ目は『対話の暖かさ』に気づいたことです。日本語教員養成課程の1年目は『対話』について学び、その大切さがよくわかりました。2年目では実際に『対話』的な授業をしたり、養成課程を受けている仲間たちと『対話』を通して仲良くなることで、『対話』の力と暖かさを実感しました。

2つ目は『学び』の意義についてです。今回、私は日本語教員養成課程を受けて、生徒としても教師としても『学ぶこと』について深く考えました。『与えられた課題をこなすことだけではなく、それを自分のものにする』というと簡単に聞こえますが、これが実際どれほど難しいかに気づくことができました。日本語学校でも、日本語を学ぶ中で、それがどれほど実生活に反映できるか、自分のものにできるかが大切だと思います。ただの『勉強』ではなく何事も『学び』の精神で過ごしていきたいです。

3つ目は『多文化共生』がより身近な言葉に変わったことです。私はこの養成課程で『多文化共生』という言葉を初めて知りました。最初は『難しい言葉』という印象でしたが、授業を通して、異文化交流に関する過去の自分の生活を振り返ったり、実際に留学生と対話をすることで『多文化共生』がぐっと身近な言葉になりました。外国人市民と共に生きることのすばらしさや、自文化と相手文化との違いを知り、認め合っていく考え方をいつまでも大切にしていきます。2年間ありがとうございました」

💛R.I.

「この2年間の養成課程を通して、『多文化共生』のイメージが変容しました。この授業では『多文化共生』が全体のテーマ的存在であり、この言葉が多く使われていました。最初に聞いたときは、聞き馴染みがなく、『難しそう』という印象でした。家族や友人・知人でも価値観があわないと思ったことがあったため、文化が異なる人と共生するのはより大変で、多くの知識や技術が必要だと思っていました。しかし、1年目にリモートではあったものの本や映画紹介を行い、対話的な姿勢の大切さを知り、2年目には数回の見学実習を行い、留学生と実際に対話的に話すことができました。そして、教壇実習ではより技術的な部分を取り入れての授業の構成や練習を行い、本番を行うことができました。ホスト社会である日本と外国につながる人が共生するためには、市民権や住居など法律や政策という大きい意味での構造的な多文化共生が必要です。一方、偏見や差別などという個人単位での多文化共生への実現は、この2年間で身に付けた『対話』によって解決すると感じました。『対話』というと小学生の頃に習うような姿勢(話す人の方向に体を向けて聴く)であり、とってもシンプルなことが多文化共生につながるということに驚きました。この2年でこの姿勢を身に付けて、自分も多文化共生の実現に貢献できると感じました」

💛M.U.

「2年間を通して変わったことは、多文化理解への姿勢です。特に対話実習で中国人留学生に対する考えが変わりました。中国人の方と話したことがなかったので、話す前の印象はあまり良い印象ではありませんでした。尖っていて、怖そうというイメージでした。これはニュースで中国での悪いニュースなどで勝手についたイメージからだと思います。なので最初話す前は不安でした。しかし留学生のみなさんは本当に話をちゃんと聞いてくれました。先生がそういうクラスづくりをしていたことと、学生たちの環境だと思いますが、話してみて心が温かくなりました。中国の方とのコミュニケーションをとったのが初めてだったのと、苦戦しながらも頑張って思いを伝えようとしてくれる姿勢がとても印象的で、感動しました。対話とは伝えようとする姿勢と、受け入れようとする姿勢が大切だと、改めて実感しました。このスキルは外国人だけでなく、人間であればだれでも必要なスキルです。この授業では、コミュニケーションの在り方を得ることができたと実感しています。そして、これから社会に出て活用していきたいと考えます」