🌹2024年度『日本語教授法』の15回の講義が終わりました。15回目の授業では、学生たち(13名)に、日本語教授法を対話的に受講して印象に残ったことについて、一人ずつ話してもらったうえで、manabaのアンケートにも印象に残ったことを3点、記述してもらいました。ここでは10人の学生の記述を紹介します。アンケート記述も15回続けてきましたので、記述も対話的に伝わる記述になってきました。

💗KMさん

1つ目は「対話的」です。一番最初の授業で「対話的な授業」と言われたときは、対話的の意味が分からなかったです。ですが、今では他の授業で模擬授業を行うときに、「対話的な授業」を目標にするなど、この授業以外でも「対話的」を意識するようになりました。また、グループで話し合う活動が多く、それによって自分の意見を深めることができるということを実感しました。

2つ目は、発表です。まず、自己紹介のある授業がほとんどないので、自己紹介をすること自体に驚いたのですが、自己紹介にみんなで感想を伝えるということも初めての経験でとても新鮮でした。この感想を伝えるのが初めはとても難しく、何を話せばいいのかわからなくなっていたのですが、これによって自分の語彙力のなさに気が付くことができたし、人の話を真剣に聴き、すぐに意見を考える練習にもなりました。また、発表をしたときのみんなの反応が暖かく、発表への苦手意識が少し減って来たことも成長だと考えています。自分が発表する側だけでなく、コメントシートを先生が発表したり、レポートを先生が発表するということも初めての経験で印象に残っています。同じ授業を受けていても、人によって持つ感想が異なっていて、そこからも学びを得ることができるというのは、私にとって新たな発見でした。

3つ目は読書です。私は本を読んだり映画を観たりするという趣味がなく、何か話を聞いて感想を持つという経験が少ないということに気が付くことができました。また、本を読むことの大切さや面白さがわかり、レポート課題のあとからは本を読む習慣が身に付きました。

💗NMさん

今学期はお世話になりました。初めてこの授業を受けたのがほとんど昨日のように感じます。最初は前で発表するのも嫌で、この授業を取ったのを少し後悔して不安になってしまうことがありましたが、最終回を迎える今ではほんとうに楽しく、いい気持で一限を受けることができました。後期もよろしくお願いいたします。

今期の授業を受けて学んだこと、感じたことは

1.先生になるということ

2.自信を持つこと

3.多様性の時代を理解すること、

です。

1.先生になるということ

→将来日本語教員になるという以前に、先生になるということから考えてみようと思うきっかけになりました。先生になるということは、生徒に物事を教える、いわばお手本になるということです。自分はまだそういう経験がないのでわからないのですが、大勢の生徒の前に立って自分の言葉で自分のやり方で正しいことを教えるということについて、この授業を通して改めて大変さを感じました。

2.自身を持つこと

→前に立って話したり、グループで意見を交換したりする時どうしても不安になってみんなの意見に首を動かすだけでしたが、少人数ということもあって、自己主張をする機会が増えていました。前で本の発表をした際も、上手く言えているかなとかこの言葉遣いで逢っているかななど、不安が自分を苦しめてしまうことがありましたが、その後の感想を言ってくださる時に、皆さんがいいところをたくさん言ってくださり、本をほめてくださったりとすごくいい気分になりました。最初よりも遥かに自信をもてている気がします。

3.多様性の時代を理解すること

→今は多様性と言われることが多いですが、やはりなかなか完全に理解することは難しいです。この前香港から留学生が来てくださったときも、日本と香港の違いを正確に話してくれて、いいところもたくさん話してくれて、とてもよかったです。私は世界平和が夢なので、どの国同士も仲良く平和にやっていけたらいいと思います。

💗AMさん

今学期の授業を受けて印象に残ったことの一つ目は、対話の重要性です。普段の会話の中で対話を意識したことがなかったので、「対話とは何だろう?」と難しく思いました。他の人の「対話とは何か?」を聞き、この聴いている間も対話が行われているんだと気付いた時は嬉しかったです。対話を意識することで、話の重要なポイントなどが自分の中に入りやすくなりました。これからも対話を意識して人との交流をしていきたいです。

二つ目は、生徒による影響です。日本語教授法を受講している生徒はみな真面目で、意欲がありました。積極的に聴く・話すことを毎週していて、有意義な時間だと感じていました。良い授業には、素敵な先生という要素ももちろん大切ですが、素敵な生徒という要素も同じくらい大切だと思います。私が日本語教員になった際には、自分だけが頑張るのではなく、教室全体の雰囲気が積極的になるようにしたいです。

三つ目はリアクションです。この授業では、皆の聴く姿勢が素晴らしいと思いました。頷いたり、微笑んだり、驚く仕草をしたりなど、ちょっとした反応で、相手に聴いていることを伝えられます。リアクションには相手への思いやりがあるため、忘れずにしていきたいです。自分の聴く姿勢を見直すことができました。

半年間ありがとうございました。後期もよろしくお願いいたします。

💗TRさん

今学期の授業を受けて印象に残った点の一つ目は“対話”の重要さについてです。この授業を受ける前は、そもそも対話について深く考えたことがありませんでしたが、授業を通して、対話について深く考える機会をもらえ、皆の様々な視点から、対話することの大切さを学ぶことが出来ました。

二つ目に関連して、対話の目的を通して、積極的なコミュニケーションを取っていくことの大事さを、理解しました。パウロ・フレイレの「伝達・処理するのみで自分の姿勢を変化させない」ことを続けるのではなく、「自主的に相手を知ろうと努力する」をこの授業で学んでから、積極的に話しかけていったことで、相手のことを最初の頃よりも知ることができたし、今後にも生かされるため、このまま続けて、自分の視野を広げていく努力をしていきたいと強く思いました。

三つ目に、異文化理解の必要性を学びました。これを理解しておくことで、コミュニケーション力にもつながっていくため、海外に住んだ場合でも、異文化の壁にぶつかって戸惑うこともなくなるので、日本のみならず海外でも活躍できる人になることが出来るので、積極的に異文化について知っていきたいと強く思いました。

💗SAさん

今年度の授業を受けて印象に残った一つ目は、対話的に授業に参加し、一人ひとりの意見を聴き、共有し合うことで、新たな発見につながり、視野が広がる良いきっかけをもたらすということです。この「対話的に」というポイントの重要さは、15回の授業を受けて身に染みて感じています。

印象に残った二つ目は、人それぞれの読書の仕方があり、読書の影響力の強さをみなさんの発表を聞いて感じたことです。特に印象に残った読書の仕方として、著者の作品を3冊読んでから、自分に合うかどうか決めるという方法は、読書を自発的に行いやすくなり、読書の面白さを最大限に生かせるなと感じました。

印象に残った三つ目は、外国語習得の動機づけに関して、環境要因が人それぞれに異なるのはもちろんでありますが、非常に懐かしい番組や教材など、思い入れのあるものについて意見交換ができ、細かい環境要因は違えど、言語学習の始まりというのは、外国語の学びのデバイスや方法がある程度確立されており、根本的な学びを促進する刺激はあまり変わらないのだなと感じたことが印象に残っています。

💗SNさん

今学期の講義を受けて、まず一つ目に偏見がなくなったことです。以前まで、先生は、あくまで先生だから、学校だけしか援助はしない、と思っていましたが、クラスのメンバーで遠足に行ったり、引っ越しの手伝いをしていると聞いて、とても驚くと共に、先生という垣根を超えて外国人援助を行っていて、とてもかっこいい職業だと改めて感じました。

二つ目は、外国人留学生についてです。以前の講義から、異文化交流、多文化コミュニケーションの重要性を説明していましたが、今回の講義が一番身に染みてその重要性を感じました。きょうは香港の学生が来てくれて、香港には女子大がないなど、生きた知識が異文化と交流することで得られ、とても貴重な経験だったと感じました。

三つ目は、授業形式と生徒です。以前から、少人数クラスはなかなか友達作りが難しかったり馴染めなさそうという印象をもっていましたが、みんな優しく、初日に仲良くなってくれた人もいて、とてもやる気につながりました。また、先生が最後におっしゃった、「私の専門は意欲だから、どうしたらみなさんの意欲が出て行くかという視点をもってこの授業に取り組んできた」という言葉を聞き、まさしくその言葉にふさわしい講義であったなと、振り返って確認しました。

後期の講義のよろしくお願いします。

💗HKさん

半年間楽しい授業をありがとうございました。私がこの講義を通して印象に残ったことを3点お話します。

1点目は、一人発表が終わるたびに、自分の感想を述べていくことが印象的でした。私はこれまでこのような少人数クラスの授業を受けたことがなく、初めは困惑したり緊張したりと、うまく言葉にできなかったです。ですが、回数を重ねていくうちに、受講生の前で立って話すようになって、だんだん緊張は解けてきました。私はもともとみんなの前で発表したり、自分の思っていることを言葉で伝えることが苦手でしたが、この講義を受けて、苦手意識が薄れました。慣れていくうちに、受講生の発表を聞くのが楽しみになっていました。これから先も、この講義で培ったスキルを忘れないようにしていきたいです。

2点目は、ブックレポートです。私が普段読むようなジャンルを読んでいる人は少なく、毎回の発表を聞くのが楽しみでした。私の知らない本や作家さんがいることを知れて、とても刺激的だったし、読んでみたい本が増えました。特に、『20代で得た知見』という本は、一番読みたいと思いました。

3点目は、少人数クラスの良さに気づくことができたことです。少人数クラスを受けたことがなく、そしてここまで仲が良くなったことがなかったので、講義はとても楽しくて、充実した時間をすごすことができました。一人発表して十数人の意見を聴くという流れは、今までになく、他の人の意見を聴くことができる機会があることに感謝していました。また、私は国際学科の学生ですが、国際学科の学生がいなく、最初はとても不安でしたが、どの学生も優しくて仲間と呼べるようになったのがとてもうれしかったです。また、倉八先生の講義を受けたいと思うこともできました。

10月から私はニュージーランドで半年間留学に行くため、倉八先生の授業は前期が最初で最後でした。とても悔しく寂しいですが、胸を張って楽しかったと言えるような留学生活にしようと思います。楽しい講義をありがとうございました。またどこかで会えたらうれしいです。本当にありがとうございました。

💗GUさん

最初に創造していたよりも発表する機会、聞く機会が多くて、自分の成長につながったように思います。特に、発表を聞いた感想を一人ずついただいたのは印象深かったです。

二点目は、日本語学校で実際に授業を受けている様子の動画を観られたことが印象に残っています。実際にどんな授業を受けているのか、どんな国の人がいるのかなどがわかり、とても貴重な体験になったと思います。

三点目は、レポート課題を通してみんなで意見を効果した授業が印象に残っています。自分とは違った視点の意見が得られたり、改めてハッとする感想が聴けたりと楽しかったので印象に残っています。

💗ANさん

日本語教授法の最後の授業では、香港のインターンシップ生がいらっしゃり、様々なお話を聞くことができました。まずはじめの自己紹介を聞いて、日本語の流暢さに驚きました。独学で半年間しか勉強していないのにも関わらず、覚えている語彙の多さや文法など、しっかりと日本語を使えていて驚きました。私ももっと本気で英語を勉強する必要があることを実感させられました。

また、今学期の授業を受けて、自分の視野と語彙力を広げることができたと感じています。この授業の受講生は、みなさん真面目で意見がしっかりとしているので、みなさんからいただいたフィードバックやグループワークを通して、「そういった考え方もあるんだな」と感じたり、「この表現私も使ってみよう」などと他の学生から多くのことを吸収することができました。毎回フィードバックをもらえたり、話し合い活動が活発に行われる授業は、他の授業ではなかなかないことなので、この授業の魅力だと感じています。後期も引き続き頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。半年間ありがとうございました。

💗SKさん

今学期の授業を受けて印象に残ったことは、他の授業と違い、対話的に参加する授業であったことです。毎回の授業で発表があり、その発表について一人ひとりコメントをするという刑式は今までなかったので、とても新鮮でした。

またグループワークなどもあり、個人で日本語教授法を学ぶというよりは、みんなで学ぶというスタンスだったので、とても楽しかったです。

後半体調不良で参加できませんでしたが、本紹介などとてもて楽しみにしていたので、とても悔しかったです。

後期は体調管理も目標にして、頑張りたいです。

グループワーク

母語獲得のエピソード            学国語習得のエピソード

 

🌹みなさん、授業に対話的に参加してくれて、本当にありがとうございました。

私は、講義で話したように、学びの深さの『ICAPモデル』に基づいて授業を設計し、15回の講義に取り組んできました。

私には、『人間は進化の過程で利他的行為である<教育>を獲得した。自分に深く根付く本物の<知識>は、他者と共有する学習様式(対話的学び)を進化的に獲得した<利他的行為である教育>によってえられる。<知識>の習得のためにはInteractive(対話的であること)が、どうしても必要である。そして、それは<楽しい>という情動が起こる過程でもある』という信念があります。

後期もその信念で、みなさんと授業を創っていこうと思います。よろしくお願いいたします。よい夏休みをすごしてください。