2025年1月から、非漢字圏の学生たち23名、ネパール13名、ベトナム5名、ウズベキスタン5名のクラスを始めました。
リサーチ・クエスチョンは、「どうすれば非漢字圏の学生たちに漢字を身体化し、使えるようになるのだろう?」
このリサーチ・クエスチョンをたて、先行研究に基づいて、仮説モデルを立てました。
💗仮説モデル 意欲の発達モデルSkinner & Edge(2002) 倉八(2021)
🌹関係性の欲求の充足
自己関与の「短作文」の発表 🌹有能さの欲求の充足 よみ・書き・それに基づいた「短作文」の教材の作成 🌹自律性の欲求の充足 自分で復習する環境を作り、定期的にテストを行い、その結果を「見える化」する。結果の発表 |
1月の時点で漢字についての認識の4件法の事前調査(19名回答)を行いました。
1.かんじはすきですか 平均3.5
そうおもう12名(63%) まあまあ5名(26%) あまり2名(11%) いいえ0名 2.かんじの勉強はたのしいですか 平均3.5 そうおもう11名(58%) まあまあ6名(32%) あまり2名(10%) いいえ0名 3.かんじはむずかしいですか 平均3 そうおもう10人(53%) まあまあ3名(16%) あまり4名(21%) いいえ0名 4.どうしてむずかしいですか。 いみがわからないから そうおもう12名(63%) まあまあ5名(26%)あまり2名(11%) いいえ0名 5.漢字を読みたいと思う 平均3.4 そう思う8人 だいたいそう思う11名 |
特に国別に特徴はうかがえませんでした。アンケート調査には各国語訳をつけましたが、日本語ができない人は、アンケートの意味を正しく理解しているかどうか、わかりませんでした。
その意味で信頼性にかけるかもしれませんが、授業で接しているなかで、かれ・彼女たちがこのように考えていることが明らかになりました。
💗漢字についての認知
漢字についてはとても重要性を認知している。すき・楽しい・
でもむずかしい・意味がわからない |
『にほんごチャレンジN4-5』(アルク)に基づいて、各課に漢字を身体化できるように「たんさくぶん」を作り、漢字を身体化する工夫をしました。身体化(記号接地)については、今井むつみ・秋田喜美(2023)『言語の本質』中公新書から、多くを学びました。私は週5日の授業のうち、月・水・金の3回を担当し、1月から3月まで漢字の身体化に取り組むことにしました。この「日本語教室の小径」で、非漢字圏の学生たちが、漢字の認識について、どのように変化していくかを綴ります。
参考文献
今井むつみ(2020)『英語独習法』岩波新書
今井むつみ・秋田喜美(2023)『言語の本質 ことばはどう生まれ進化したか』中公新書
倉八順子(2021)『「日本語教師」という仕事 多文化と対話する「ことば」を育む』明石書店
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