卒業クラスは、冬学期(1月―3月)は、最後の学期です。どのクラスも、アクティブ・ラーニングで、一人ひとりの学生が、対話を楽しめるように、私は、一人ひとりの学生と向き合って、対話を続けています。

2-3クラス、4月に担任になって、1週間に1回しか、授業を担当できませんでしたが、一人ひとりの学生と向き合ってきました。

日本語教室の小径第103回で綴ったことが起きたのもこのクラスです。そのことをどの学生も大切にしていると感じます。なにも、言葉に発することはありませんが。

この日は、『年をとったら、周りに迷惑をかけないように介護施設にはいったほうがいい』と考える高齢者に対して、介護施設に入る『メリット』と『デメリット』を考えようというアクティブ・ラーニング。

教室はグループワークには向いていない固定式の机ですが、グループワークを続けているうちに、学生たちは工夫するようになってきました。

グループ分けは、1.2.3.4.1.2.3.4.・・・と言って、偶発的に発生したグループを作ります。このことで、誰とでも、対話ができる心的態度が育まれていきます。他者と共に学ぶ<協同>、そして、誰に対しても開かれた態度<寛容性>。

この日は16人でしたから、4人の4グループ。

複言語主義で、中国語で意見を交わしながら、スマホで調べる。この2-3クラスは、話す力に差がありますが、他者へのレスペクトが育まれていて、日本語で表現できない学生に対しても、<やわらかなまなざし>が向けられ、<やさしい空間>が育っています。

書くことが好きな学生は、静かに、『メリット』と『デメリット』をノートに書き、ホワイトボードにも書き始めました。

<メリット>

①プロフェッショナルなケアが得られる

②こどもたちは仕事ができる

③適切なタイミングで薬を服用する

④必要なテクノロジーのりようかのうせい。

<デメリット>

①費用が高い。1月に20万円ぐらいかかる。年金だけでは足りない

②個人的ニーズに対応しにくい(食事や生活習慣に対応できない)

③さびしい。孤独を感じる可能性

④家族に見捨てられたと感じる。落ち込む人もいる

発表になると、話すのが得意な学生が発表しました。この時期は、合格した大学院・大学・専門学校の学びに向けて、自分の対話力を高めたいという明るく、前向きな意欲があり、発表にも、積極的に取り組みます。

<対話を楽しむ>姿勢が育まれていることが、私も、本当にうれしいです。

1月31日は日本語能力試験の受験結果の発表でした。ざんねんながらN1に合格できなかった、大学院進学が決まっている学生も、明るい笑顔で、「次回、また、挑戦します」と言っていました。

この1年の学びで、<今を楽しむ学び>、そして学ぶ上で大切な<省察力>と<自律性>が、確実に、育まれていると感じます。