学習とは『学習者の認知構造の変容』です。
『認知構造』とは脳の構造が変容すれること、それによって行動が変容することです。脳内の知識は階層をもって構造化(知識構造)されています。
例えば、日本語学習でいえば、趣味についての単語は「好きです・上手です・します」などの述語とそれに関する名詞「音楽・スポーツ・本を読みます・映画を見ます・アニメを見ます・食べます」などが脳のなかで近接部分に構造化されています。
💛情報を認識する枠組み『認知構造』(情報処理する構造)

音楽をききます・スポーツをします・本を読みます・映画を見ます

好きです・上手です・します

それでは、どうすれば、学習者は好ましい『認知構造』を学習していくことができるのでしょうか。
東京富士語学院では、ヨーロッパの言語教育の理念CEFR(Common Europe Framework of Reference for languages: Learning, Teaching, Assessment )[ヨーロッパ言語共通参照枠2001,2018CEFR-CV]に基づいて、『学習』を整理し、日本語教育の実践を考え、実践報告をしています。
CEFRの理念を確認します。
1.学習者を社会的行為者ととらえ、言語知識だけでなく、社会とのつながり、学習者のアイデンティティ育成をも目指す
2.従来の言語教育は「文型・語彙」を教え、その後、その知識を用いて活動するという「まず指導項目ありきの授業
⇒CEFRの理念に基づく授業
社会的行為者である学習者が、社会参加・アイデンティティ育成のために必要としている課題を考え、その課題の実現のために必要な文型・語彙を教える:まず『課題ありき』の考え方

CEFRの理念は日本語教育改革プロジェクトを促進するためのツールとなります。
1.カリキュラム、試験、教科書などを構築、遂行、精緻化するために必要な理念、その理念にそった言語活動・言語能力・言語教育の概念を形成する
2.CEFRの概念を具現化した言語熟達度を示す共通参照レベルを提供。能力記述文で記述されています。
A 基礎的な言語使用者 A1 A2
B 自律した言語使用者 B1 B2
C 熟達した言語使用者 C1 C2

〇東京富士語学院の初級クラスではA1を目指します。
🌹A1の能力記述文
具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。
自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、だれと知り合いか、持ち物などの個人的情報についても、質問したり、答えたりできる。
もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け船を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる。

〇東京富士語学院の中級クラスではA2を目指します。
🌹A2の能力記述文
ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる分野表現が理解できる。
簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。
自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる

東京富士語学院の教師はこの理念を認識し、この理念が教授実践によって達成されているかをつねに省察しています。

参考文献
Council of Europe (2018) Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment Companion volume with new descriptors. Chapter 3 Common Reference Levels
2018 CEFR-CV 第3章 共通参照レベル
http://www.lit.osaka-cu.ac.jp/user/tanakak/CEFR%20Chapter%203.pdf