いよいよ今年令和6年4月から日本語教師が国家資格になり登録日本語教員制度が始まります。2024年は多文化共生を生きる私たちにとって、大きな変化の年になります。年頭にあたり、確認します。

💛背景

1.深刻な労働力不足を外国人でまかなわなければならない社会状況

外国人労働者の受け入れ体制 2019年出入国管理及び難民認定法

特定技能 一定の技能及び日本語能力基準(N4)を満たしたものに在留を許可

建設、造船、農業、産業機械製造業、介護、外食、飲食料品製造業など14分野

2.日本語教師の不足(質と量の担保)

🌹国内における日本語学習者 約26万人

日本語教師等の数 約42,000人(文化庁 平成30年度の日本語教育の概要)

日本語教師の地位は安定していない。

🌹国外における日本語学習者数 約385万人

日本語教師の人数 約8万人 国際交流基金2018年度日本語教育機関調査

💛現行の日本語教師認定制度の問題点

3つの方法があるが、ばらつきがある。

大学での養成課程を終わっても、教師になる人は少ない。

1)日本語教育能力検定試験合格  知識は有する  実習指導がない

2)日本語教師養成講座 420時間  養成機関・指導教員によってばらつきがある

3)大学での日本語教育専攻・及び 資格課程(26単位以上)

 

💛国家資格<登録日本語教員>

国家資格<登録日本語教員>に資格要件はありません。つまり、どのような学歴であっても、母語であっても、国籍であっても、年齢であっても、<登録日本語教員>になることができます。

このことはすばらしいことだと考えています。

これは、<日本語教育の参照枠>にある3つの言語教育観の柱を体現しています。

1)日本語学習者を社会的存在として捉える

2)言語を使ってできることcan-doを目標とする

3)多様な日本語を認める

すなわち、日本語は世界の人のものであり、いろいろな発音の日本語があっていいし、内容が伝わればいろいろな日本語があっていいということです。それを教える教師も多様性があっていいということです。

登録日本語教員になるには、登録日本語教員養成機関で、必須の50項目の研修を受けます。登録日本語教員養成機関は現在の養成機関が再登録することによって登録日本語機関の資格が取得できることになっています。東京富士語学院も昨年暮れ、2023年12月24日に通学コースと通信コースを再登録しました。

クリックして動画をごらんください

東京富士語学院養成講座紹介ビデオ

 

💛必須の50項目とは

3領域・5区分・16下位区分・50の必須の教育内容(2019平成31年)

💗3領域とは

「社会・文化に関わる領域」「教育に関わる領域」「言語に関わる領域」

💗5区分

1「社会・文化・地域」 2「言語と社会」 3「言語と心理」 4「言語と教育」 5「言語」

💗16下位区分・50の必須の教育内容

🌹理論編

1.①世界と日本②異文化接触③日本語教育の歴史と現状

2.④言語と社会の関係 ⑤言語使用と社会 ⑥異文化コミュニケーション と社会

3.⑦言語理解の過程⑧言語習得・発達 ⑨異文化理解と心理

4.➉言語教育法 ⑪異文化教育とコミュニケーション教育 ⑫言語教育と情報

5.⑬言語の構造一般⑭日本語の構造⑮言語教育研究⑯コミュニケーション能力

🌹実技・教育実習

①CEFRの概念に基づいた教育実践 ②ネイティブ教師とノンネイティブ教師の協働 ③初級の指導 ④中上級の指導

 

登録日本語養成機関で必須の50項目の研修を受けた後、指定試験期間の基礎試験、応用試験をうけます。

試験① 基礎試験

言語そのものや言語教育、世界や日本の社会と文化等、日本語教育を行うために必要となる3領域5区分15下位区分50項目の必須の教育内容に含まれる知識・技能を有するかどうかを測定する。

120分 100問 選択式 1問1点 (計100点)

試験② 応用試験

出題範囲が複数の領域区分にまたがる横断的な設問により、実際に日本語教育を行う際の現場の対応や問題解決を行うことができる基礎的な知識及び技能を活用した問題解決能力を測定する試験とする。

音声による出題45分 50問 選択式 1問 2点

文章題          60問  (計220点)

2023年12月10日に試行試験が行われています。これをもとに2024年度から正式に始まる試験が検討されています。

試験合格後、登録実践研修機関で実践研修を受けます。

現職教員については、5年間の経過措置のあいだに、資格をとることが求められています。現職教員の利害を損ねないように、細かく検討されています。

 

💗社会人力があり、多文化をリスペクトし、寛容性をもった、日本語教師が求められています。多文化共生を生きようとするみなさん、対話に生きようとするみなさん、ぜひ登録日本語教員の資格に挑戦してみませんか。

 

参考資料

日本語教育の参照枠93476801_01.pdf (bunka.go.jp)

登録日本語教員の資格取得に係る経過措置における日本語教員養成課程等の確認について | 文化庁 (bunka.go.jp)

登録日本語教員の経験者講習について

93932701_04.pdf (bunka.go.jp)